2019年6月26日、PLOSは全学術雑誌でORCID IDの入力を可能にしました。PLOSは医療・生物学分野の7誌を出版しています。オープンアクセス出版を推進してきました。
ORCIDは非営利団体が運営するシステムです。研究者IDを提供し、業績を一貫して管理します。査読者は自分の貢献を追跡し、業績として扱うことができます。
キーポイント
- ORCID IDは研究者の所属変更に関わらず一貫した業績記録を維持できる
- ORCID IDを使うことで、論文執筆や助成金申請の手続きが簡素化される
- ORCID IDを通じて査読実績が可視化され、研究者の評価に反映される
- ORCID IDを活用することで、研究者の業績管理と国際的な発信が効率化される
- ORCID IDはオープンサイエンスと研究インテグリティの向上に寄与する
本記事では、ORCID IDの特長や取得方法、活用ノウハウを詳しくご紹介します。ORCID活用に関する包括的な情報もご覧ください。
ORCIDとは
ORCID(Open Researcher and Contributor ID)は、世界中の研究者が無料で使える識別子です。2010年に米国で設立されたORCID Inc.が運営しています。研究者、機関、出版社、学会などが参加しています。
2012年10月から、ORCID IDの発行が始まりました。2019年12月時点で、約780万人の登録者がいます。
ORCIDの目的と現況
ORCIDは研究者が業績を管理し、国際的に活動を共有できるようにするために開発されました。登録は約30秒で完了し、既存の論文情報を取り込むことで、業績を一元的に管理できます。近年、出版社やデータリポジトリとの連携が進んでおり、ORCIDの利用が増えています。
- 2019年6月、PLOS(Public Library of Science)が全ジャーナルでORCID iDの入力を義務化
- 研究者が査読に貢献した場合、「査読クレジット(Reviewer Credit)」を取得可能
- ORCID iDを持たない研究者による「偽の共同執筆者」問題を抑制
ORCID IDのメリット
ORCID IDは研究者にとって大きなメリットがあります。以前、同姓同名の研究者を区別するのが難しかったのです。でも、ORCID IDを使うと、研究者特定や論文管理、業績管理が簡単になりました。
研究者は自分自身の基本情報や業績をORCID IDで管理できます。人事公募や助成金の申請が簡単になります。大学や学会、助成機関もORCID IDメリットを享受できます。
- 同姓同名の研究者を区別できるようになりました。
- 研究者自身が情報と業績を管理できるようになりました。
- 申請書作成の負担が軽減されました。
メリット | 説明 |
---|---|
ORCID IDメリット | 同姓同名の研究者を区別、情報管理、申請書作成の負担軽減 |
論文管理 | 個々の研究者と業績を正確に紐づけられる |
業績管理 | 研究者自身が基本情報や業績を登録・管理できる |
研究者特定 | 同姓同名の研究者を区別できるようになった |
“ORCID IDで、業績管理が大幅に改善しました。申請書作成の時間も短くなりました。”
ORCID IDの検索方法
ORCIDは研究者が業績や経歴を管理するための便利なシステムです。公式サイトのホームページ(https://orcid.org/)で簡単に検索できます。名前の一部でも検索可能で、結果にはORCID IDや氏名などが表示されます。
絞り込み検索
詳細な検索をしたい場合は、「ADVANCED SEARCH」機能が便利です。ここでは、氏名や所属など、様々な条件で検索できます。ORCID IDがわかっている場合は、ブラウザで直接IDを入力するとその詳細ページにアクセスできます。
検索機能 | 詳細 |
---|---|
基本検索 | 氏名の一部で検索可能。検索結果にはORCID ID、氏名、所属などが表示される。 |
詳細検索 | 「ADVANCED SEARCH」で、氏名、所属、分野、出版物情報などの条件で絞り込み検索できる。 |
ORCID IDから検索 | ブラウザのURLにORCID IDを直接入力すると、その登録者の詳細ページに移動できる。 |
ORCID IDの取得方法
研究者として、業績を管理し正確に発信するためには、ORCID ID登録が重要です。ORCID IDの取得は簡単で、ORCID Inc.のウェブサイト(https://orcid.org/)から数分でできます。
ORCID IDを取得する手順は以下の通りです:
- ORCID Inc.のウェブサイトにアクセスし、「Register」ボタンをクリックします。
- 名前、メールアドレス、パスワードを入力し、プライバシー設定を選択します。
- メール認証を完了すると、自動的にORCID IDが付与されます。
- マイページにアクセスして、所属機関や業績などの情報を登録しましょう。
ORCID活用法
ORCID IDを取得したら、マイページで情報を登録・管理することが大切です。論文や著書、受賞歴など、研究業績をORCID IDにリンクできます。基本情報も登録可能です。
しかし、ORCID ID公開設定には注意が必要です。
ORCID公開設定について
ORCID IDの情報を「Everyone」で公開すると、誰でも見ることができます。「Trusted parties」を選ぶと、特定の組織や個人だけが見えます。
研究者としての情報をどのように発信するかを考えて、適切な範囲を選びましょう。
- 「Everyone」を選択すると、ORCID公式サイトを訪れた誰もが閲覧できる
- 「Trusted parties」を選択すると、特定の組織や個人にのみ公開できる
- 研究者としての情報発信の対象を慎重に検討し、適切な公開範囲を設定する
ORCID IDを使うと、研究業績の管理が簡単になります。でも、公開範囲の設定は大事です。キャリアアップや研究活動に合わせて、適切な設定が重要です。
ORCIDの注意点
ORCIDは誰でも簡単に登録できるため、注意が必要です。ORCID信頼性を保つためです。無料でORCID IDを取得できますが、大学などがメンバーシップを取得する場合には料金がかかります。
このメンバーシップ料金は、ORCIDの運営を助けています。研究者個人が無料で管理できるのが魅力です。
ORCIDの利用は増え続けるでしょう。米国化学会などの大手学会が参加しています。団体はORCIDの重要性を認めています。
信頼マーカーを通じて、データの信頼性を向上させます。研究者の貢献度を正確に表現する必要があります。
団体名 | ORCID関与の取り組み |
---|---|
米国化学会 | ORCID参加、信頼マーカープロジェクト |
アメリカ物理学会、ケンブリッジ大学出版局、エルゼビア、王立化学会など | ORCID参加団体 |
コペ、STM | 製紙工場問題の調査、提出原稿の検出ツールと継続的な投資の必要性を強調 |
ORCID利用時にはORCID注意点とORCID信頼性を考慮しましょう。無料で登録可能ですが、機関のメンバーシップも重要です。
「ORCID利用は今後さらに増加する見込みであり、参加団体も拡大しています。各団体はORCIDの重要性を認識し、データの信頼性向上と研究者の正確な貢献度表現に取り組んでいます。」
研究者IDとの連携
ORCID IDは、研究者を特定する識別子です。ResearchmapやPublonsなどのツールもあります。これらをORCID IDと連携すると、研究業績を一か所で管理できます。Researchmapでは、ORCID IDを登録すると、ORCIDの情報を反映させることができます。
最近、研究業績は自動的に集められ、検索システムで見つけられます。ORCID IDを使うと、研究成果を効果的に発信できます。学術雑誌への投稿でも、ORCID IDの入力が推奨されています。
ORCID IDはプロフィールを登録できます。海外では履歴書として使われています。ORCID IDとresearchmapを連携すると、業績を簡単に登録できます。査読実績や編集歴も登録可能です。
Web of Scienceの自著論文をPublonsに登録すると、Web of Science Researcher IDが取得できます。Scopusの著者IDも重要です。
ツール | 特徴 |
---|---|
ORCID ID | 研究者を特定する識別子 |
Researchmap | 研究業績を管理できる専用ツール |
Publons | 査読実績や編集歴を登録できる |
結論
ORCID (Open Researcher and Contributor ID)は、研究者を一意に識別するIDです。論文や著作物、受賞歴などを管理し、国際的に発信するためのツールです。ORCID IDの取得は無料で簡単ですが、公開範囲の設定には注意が必要です。
ORCID IDは他の研究者IDツールとも連携できるので、情報管理が容易になります。日本人研究者は、ぜひORCID IDを活用して、世界に発信しましょう。
ORCID ID活用は、研究者の国際的な認知度と業績評価に大きく影響します。日本人研究者の方にも、無料で利用できるため活用をおすすめします。IDの取得方法や活用ポイントを確認し、世界にプレゼンスを示しましょう。
研究成果の可視性と研究者としての評価を高めるため、ORCID IDの活用は重要です。日本人研究者の皆さん、この機会にORCID IDを取得し、キャリアアップに役立ててください。
FAQ
ORCIDとは何ですか?
ORCIDは、世界中の研究者を識別するためのIDを無料で提供します。研究者はこのIDを利用して、自分の研究成果を管理し、国際的に共有できます。
ORCID IDを取得するメリットは何ですか?
ORCID IDを取得すると、同姓同名の研究者を区別しやすくなります。さらに、自分の基本情報や研究業績を簡単に管理できます。これにより、人事選考や助成金申請がスムーズになります。
ORCID IDの検索方法は?
ORCID公式サイトで名前の一部でも検索可能です。検索結果には、氏名や所属などが表示されます。「ADVANCED SEARCH」で詳細な検索ができます。ORCID IDがわかっている場合は、直接ブラウザでアクセスできます。
ORCID IDはどのように取得できますか?
ORCID Inc.のホームページから無料で登録できます。名前やメールアドレス、パスワードを設定し、公開範囲を選ぶだけです。
ORCID IDの公開設定はどのように行うべきですか?
ORCID IDの公開範囲を設定する際は注意が必要です。「Everyone」で全ての人が見えます。「Trusted parties」で特定の組織や個人に限定できます。情報の発信対象を慎重に選びましょう。
ORCID IDは他の研究者IDツールと連携できますか?
はい、ORCID IDはResearchmapやPublonsなどのツールと連携できます。これにより、ワンストップで研究業績を管理できます。
ソースリンク
- https://www.enago.jp/academy/orcid-credits-in-plos-journals/
- https://info.orcid.org/ja/beyond-research-outputs-and-affiliations-adding-prizes-as-professional-distinctions-to-orcid-記録/
- https://info.orcid.org/ja/登録しました-orcid-id-now-what/
- https://devlog.atlas.jp/2017/12/11/1710
- https://thinkscience.co.jp/ja/articles/questions-and-answers-about-orcid
- https://www.jstage.jst.go.jp/static/files/ja/J-STAGE_NEWS_NO44.pdf
- https://info.orcid.org/ja/ドキュメント/ワークフロー/リポジトリシステム/
- https://alc.chiba-u.jp/eyr/2022/10/24/01orcid.html
- https://www.soubun.com/journal/研究者を識別する「orcidオーキッドid」とは?調べ方/
- https://devlog.atlas.jp/2018/04/03/2081
- https://info.orcid.org/ja/要約-orcid-record-data-to-help-maintain-integrity-in-scholarly-publishing/
- https://contents.nii.ac.jp/sites/default/files/2020-03/h29-1_houkoku.pdf
- https://www.enago.jp/academy/limitations-of-research-study/
- https://journalcafe.atlas.jp/2018-04-09-483