2019年6月26日、PLOSは全学術雑誌でORCID IDの入力を可能にしました。PLOSは医療・生物学分野の7誌を出版しています。オープンアクセス出版を推進してきました。
ORCIDは非営利団体が運営するシステムです。研究者IDを提供し、業績を一貫して管理します。査読者は自分の貢献を追跡し、業績として扱うことができます。
日本人研究者のためのORCID活用術
ORCIDとは何か?
ORCID(Open Researcher and Contributor ID)は、研究者に付与される16桁の固有識別番号です。氏名の変更、所属機関の移動、同姓同名の研究者との混同を防ぎ、研究業績を正確に追跡できます。
| 項目 | 詳細 | 
|---|---|
| 正式名称 | Open Researcher and Contributor ID | 
| 設立年 | 2012年 | 
| 運営組織 | ORCID, Inc.(非営利団体) | 
| 番号形式 | 0000-0000-0000-0000(16桁) | 
| 費用 | 完全無料(研究者向け) | 
| 有効期限 | 永久(生涯使用可能) | 
日本人研究者がORCIDを必要とする理由
日本の研究環境において、ORCIDは国際的な研究活動の必須ツールとなっています。
- 姓名順の違い(Tanaka Yuki / Yuki Tanaka)
 - ローマ字表記の揺れ(Satoh / Sato / Satou)
 - 旧姓・改姓による混乱の防止
 - ミドルネームの有無
 
- 大学・研究機関の異動
 - 組織名称の英語表記の統一
 - 複数機関での兼任
 - 退職後の業績管理
 
- 海外ジャーナルへの投稿時
 - 国際共同研究の申請
 - グローバルな研究者ネットワーク
 - 引用数の正確な追跡
 
- 科研費申請での活用
 - JST・AMEDの研究費
 - Horizon Europe(EU)
 - NIH・NSF(米国)
 
ORCID登録の手順(完全ガイド)
ORCID登録は5分程度で完了します。以下の手順に従って進めてください。
| ステップ | 操作内容 | 注意点 | 
|---|---|---|
| 1 | 
公式サイトにアクセス https://orcid.org/ にアクセスし、「Register now」をクリック  | 日本語表示も可能(右上の言語選択) | 
| 2 | 
基本情報の入力 氏名(姓・名)、メールアドレス、パスワードを入力  | 論文で使用する英語表記を推奨 | 
| 3 | 
公開設定の選択 情報の公開範囲を設定(全公開・限定公開・非公開)  | 後から変更可能 | 
| 4 | 
利用規約への同意 利用規約とプライバシーポリシーを確認し、同意  | 必須項目 | 
| 5 | 
メール認証 登録メールアドレスに届いた確認リンクをクリック  | 24時間以内に認証を完了 | 
| 6 | 
ORCID番号の取得 16桁の固有番号が発行される  | この番号は生涯変更不可 | 
- 所属機関のメールアドレスを使用(大学・研究機関のドメイン)
 - 論文で使用している英語表記と一致させる
 - 複数のメールアドレスを登録可能(バックアップ用)
 - 二段階認証の設定を推奨(セキュリティ強化)
 
プロフィールの最適化
登録後、プロフィールを充実させることで研究者としての可視性が向上します。
| 項目 | 設定内容 | 重要度 | 
|---|---|---|
| 別名・旧姓 | 過去に使用した氏名、ローマ字表記のバリエーションを追加 | 高 | 
| 所属機関 | 現在および過去の所属機関を登録(ROR IDと連携) | 高 | 
| 専門分野 | 研究キーワード、専門領域を追加 | 中 | 
| ウェブサイト | 個人サイト、研究室HP、ResearchGateなどのリンク | 中 | 
| 国・地域 | 現在の活動拠点を設定 | 中 | 
| 略歴 | 簡潔な研究経歴(100-200語程度) | 低 | 
キーポイント
- ORCID IDは研究者の所属変更に関わらず一貫した業績記録を維持できる
 - ORCID IDを使うことで、論文執筆や助成金申請の手続きが簡素化される
 - ORCID IDを通じて査読実績が可視化され、研究者の評価に反映される
 - ORCID IDを活用することで、研究者の業績管理と国際的な発信が効率化される
 - ORCID IDはオープンサイエンスと研究インテグリティの向上に寄与する
 
本記事では、ORCID IDの特長や取得方法、活用ノウハウを詳しくご紹介します。ORCID活用に関する包括的な情報もご覧ください。
ORCIDとは
ORCID(Open Researcher and Contributor ID)は、世界中の研究者が無料で使える識別子です。2010年に米国で設立されたORCID Inc.が運営しています。研究者、機関、出版社、学会などが参加しています。
2012年10月から、ORCID IDの発行が始まりました。2019年12月時点で、約780万人の登録者がいます。
ORCIDの目的と現況
ORCIDは研究者が業績を管理し、国際的に活動を共有できるようにするために開発されました。登録は約30秒で完了し、既存の論文情報を取り込むことで、業績を一元的に管理できます。近年、出版社やデータリポジトリとの連携が進んでおり、ORCIDの利用が増えています。
- 2019年6月、PLOS(Public Library of Science)が全ジャーナルでORCID iDの入力を義務化
 - 研究者が査読に貢献した場合、「査読クレジット(Reviewer Credit)」を取得可能
 - ORCID iDを持たない研究者による「偽の共同執筆者」問題を抑制
 
ORCID IDのメリット
ORCID IDは研究者にとって大きなメリットがあります。以前、同姓同名の研究者を区別するのが難しかったのです。でも、ORCID IDを使うと、研究者特定や論文管理、業績管理が簡単になりました。
研究者は自分自身の基本情報や業績をORCID IDで管理できます。人事公募や助成金の申請が簡単になります。大学や学会、助成機関もORCID IDメリットを享受できます。
- 同姓同名の研究者を区別できるようになりました。
 - 研究者自身が情報と業績を管理できるようになりました。
 - 申請書作成の負担が軽減されました。
 
| メリット | 説明 | 
|---|---|
| ORCID IDメリット | 同姓同名の研究者を区別、情報管理、申請書作成の負担軽減 | 
| 論文管理 | 個々の研究者と業績を正確に紐づけられる | 
| 業績管理 | 研究者自身が基本情報や業績を登録・管理できる | 
| 研究者特定 | 同姓同名の研究者を区別できるようになった | 
“ORCID IDで、業績管理が大幅に改善しました。申請書作成の時間も短くなりました。”
ORCID IDの検索方法
ORCIDは研究者が業績や経歴を管理するための便利なシステムです。公式サイトのホームページ(https://orcid.org/)で簡単に検索できます。名前の一部でも検索可能で、結果にはORCID IDや氏名などが表示されます。
絞り込み検索
詳細な検索をしたい場合は、「ADVANCED SEARCH」機能が便利です。ここでは、氏名や所属など、様々な条件で検索できます。ORCID IDがわかっている場合は、ブラウザで直接IDを入力するとその詳細ページにアクセスできます。
| 検索機能 | 詳細 | 
|---|---|
| 基本検索 | 氏名の一部で検索可能。検索結果にはORCID ID、氏名、所属などが表示される。 | 
| 詳細検索 | 「ADVANCED SEARCH」で、氏名、所属、分野、出版物情報などの条件で絞り込み検索できる。 | 
| ORCID IDから検索 | ブラウザのURLにORCID IDを直接入力すると、その登録者の詳細ページに移動できる。 | 
ORCID IDの取得方法
研究者として、業績を管理し正確に発信するためには、ORCID ID登録が重要です。ORCID IDの取得は簡単で、ORCID Inc.のウェブサイト(https://orcid.org/)から数分でできます。
ORCID IDを取得する手順は以下の通りです:
- ORCID Inc.のウェブサイトにアクセスし、「Register」ボタンをクリックします。
 - 名前、メールアドレス、パスワードを入力し、プライバシー設定を選択します。
 - メール認証を完了すると、自動的にORCID IDが付与されます。
 - マイページにアクセスして、所属機関や業績などの情報を登録しましょう。
 

ORCID活用法
ORCID IDを取得したら、マイページで情報を登録・管理することが大切です。論文や著書、受賞歴など、研究業績をORCID IDにリンクできます。基本情報も登録可能です。
しかし、ORCID ID公開設定には注意が必要です。
ORCID公開設定について
ORCID IDの情報を「Everyone」で公開すると、誰でも見ることができます。「Trusted parties」を選ぶと、特定の組織や個人だけが見えます。
研究者としての情報をどのように発信するかを考えて、適切な範囲を選びましょう。
- 「Everyone」を選択すると、ORCID公式サイトを訪れた誰もが閲覧できる
 - 「Trusted parties」を選択すると、特定の組織や個人にのみ公開できる
 - 研究者としての情報発信の対象を慎重に検討し、適切な公開範囲を設定する
 
ORCID IDを使うと、研究業績の管理が簡単になります。でも、公開範囲の設定は大事です。キャリアアップや研究活動に合わせて、適切な設定が重要です。
ORCIDの注意点
ORCIDは誰でも簡単に登録できるため、注意が必要です。ORCID信頼性を保つためです。無料でORCID IDを取得できますが、大学などがメンバーシップを取得する場合には料金がかかります。
このメンバーシップ料金は、ORCIDの運営を助けています。研究者個人が無料で管理できるのが魅力です。
ORCIDの利用は増え続けるでしょう。米国化学会などの大手学会が参加しています。団体はORCIDの重要性を認めています。
信頼マーカーを通じて、データの信頼性を向上させます。研究者の貢献度を正確に表現する必要があります。
| 団体名 | ORCID関与の取り組み | 
|---|---|
| 米国化学会 | ORCID参加、信頼マーカープロジェクト | 
| アメリカ物理学会、ケンブリッジ大学出版局、エルゼビア、王立化学会など | ORCID参加団体 | 
| コペ、STM | 製紙工場問題の調査、提出原稿の検出ツールと継続的な投資の必要性を強調 | 
ORCID利用時にはORCID注意点とORCID信頼性を考慮しましょう。無料で登録可能ですが、機関のメンバーシップも重要です。
「ORCID利用は今後さらに増加する見込みであり、参加団体も拡大しています。各団体はORCIDの重要性を認識し、データの信頼性向上と研究者の正確な貢献度表現に取り組んでいます。」
研究者IDとの連携
ORCID IDは、研究者を特定する識別子です。ResearchmapやPublonsなどのツールもあります。これらをORCID IDと連携すると、研究業績を一か所で管理できます。Researchmapでは、ORCID IDを登録すると、ORCIDの情報を反映させることができます。
最近、研究業績は自動的に集められ、検索システムで見つけられます。ORCID IDを使うと、研究成果を効果的に発信できます。学術雑誌への投稿でも、ORCID IDの入力が推奨されています。
ORCID IDはプロフィールを登録できます。海外では履歴書として使われています。ORCID IDとresearchmapを連携すると、業績を簡単に登録できます。査読実績や編集歴も登録可能です。
Web of Scienceの自著論文をPublonsに登録すると、Web of Science Researcher IDが取得できます。Scopusの著者IDも重要です。
| ツール | 特徴 | 
|---|---|
| ORCID ID | 研究者を特定する識別子 | 
| Researchmap | 研究業績を管理できる専用ツール | 
| Publons | 査読実績や編集歴を登録できる | 
結論
ORCID (Open Researcher and Contributor ID)は、研究者を一意に識別するIDです。論文や著作物、受賞歴などを管理し、国際的に発信するためのツールです。ORCID IDの取得は無料で簡単ですが、公開範囲の設定には注意が必要です。
ORCID IDは他の研究者IDツールとも連携できるので、情報管理が容易になります。日本人研究者は、ぜひORCID IDを活用して、世界に発信しましょう。
ORCID ID活用は、研究者の国際的な認知度と業績評価に大きく影響します。日本人研究者の方にも、無料で利用できるため活用をおすすめします。IDの取得方法や活用ポイントを確認し、世界にプレゼンスを示しましょう。
研究成果の可視性と研究者としての評価を高めるため、ORCID IDの活用は重要です。日本人研究者の皆さん、この機会にORCID IDを取得し、キャリアアップに役立ててください。
FAQ
ORCIDとは何ですか?
ORCIDは、世界中の研究者を識別するためのIDを無料で提供します。研究者はこのIDを利用して、自分の研究成果を管理し、国際的に共有できます。
ORCID IDを取得するメリットは何ですか?
ORCID IDを取得すると、同姓同名の研究者を区別しやすくなります。さらに、自分の基本情報や研究業績を簡単に管理できます。これにより、人事選考や助成金申請がスムーズになります。
ORCID IDの検索方法は?
ORCID公式サイトで名前の一部でも検索可能です。検索結果には、氏名や所属などが表示されます。「ADVANCED SEARCH」で詳細な検索ができます。ORCID IDがわかっている場合は、直接ブラウザでアクセスできます。
ORCID IDはどのように取得できますか?
ORCID Inc.のホームページから無料で登録できます。名前やメールアドレス、パスワードを設定し、公開範囲を選ぶだけです。
ORCID IDの公開設定はどのように行うべきですか?
ORCID IDの公開範囲を設定する際は注意が必要です。「Everyone」で全ての人が見えます。「Trusted parties」で特定の組織や個人に限定できます。情報の発信対象を慎重に選びましょう。
ORCID IDは他の研究者IDツールと連携できますか?
はい、ORCID IDはResearchmapやPublonsなどのツールと連携できます。これにより、ワンストップで研究業績を管理できます。
ソースリンク
- https://info.orcid.org/ja/beyond-research-outputs-and-affiliations-adding-prizes-as-professional-distinctions-to-orcid-記録/
 - https://info.orcid.org/ja/登録しました-orcid-id-now-what/
 - https://devlog.atlas.jp/2017/12/11/1710
 - https://thinkscience.co.jp/ja/articles/questions-and-answers-about-orcid
 - https://www.jstage.jst.go.jp/static/files/ja/J-STAGE_NEWS_NO44.pdf
 - https://info.orcid.org/ja/ドキュメント/ワークフロー/リポジトリシステム/
 - https://alc.chiba-u.jp/eyr/2022/10/24/01orcid.html
 - https://www.soubun.com/journal/研究者を識別する「orcidオーキッドid」とは?調べ方/
 - https://devlog.atlas.jp/2018/04/03/2081
 - https://info.orcid.org/ja/要約-orcid-record-data-to-help-maintain-integrity-in-scholarly-publishing/
 - https://contents.nii.ac.jp/sites/default/files/2020-03/h29-1_houkoku.pdf